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車いすでも海遊びしたい…重富海岸をユニバーサルビーチへ、プロジェクト進行中【WEB限定写真あり】

 重富海岸を車いすでも楽しめるユニバーサルビーチに-。姶良市平松のくすの木自然館は3日、障害があっても高齢者でも、誰もが気軽に海水浴を楽しむことができる重富海岸にしようと、支援者養成のための研修会を開いた。

 姶良、鹿児島、志布志市などから8人が参加。挑戦や多様性を重視する理念のほか、水陸両用車いすや専用マットの使い方などを学んだ。姶良市平松の重富海岸であった実技研修では、6年前から神戸市でユニバーサルビーチを導入している須磨ユニバーサルビーチプロジェクトの古川尚子さん(39)が実技指導した。

 紹介された道具は外国製で、長さ10メートル、幅1.5メートルのポリエステル製ビーチマットと、水中で浮く車いす。8人は波打ち際まで砂浜を整地して1枚40キロあるマットを固定、その上を車いすが通って海に入る流れを確認した。

 夫婦で参加した姶良市東餅田の村北麻由子さん(55)は「誰でも日常的に、ふらりと海に遊びに行けるようサポートしたい」。鹿児島市吉野町の臨床心理士津田政志さん(34)は「海に行く選択肢がないと思っている人がいることを初めて知った。支援により、多くの人の人生の幅が広がる」と話した。

 くすの木自然館は昨年、体験会を開き、初めて海水浴をした障害者に喜ばれたという。マットなどは準備済みで、今夏から活動を始める予定。浜本麦代表理事(40)は「実現には支援者が必要。誰もが海は楽しいと思えるような愛される国立公園にしたい」と話した。

 研修は7月まで計4回あり、約15人が申し込んでいる。今後は安全管理やバリアフリーツーリズム、環境教育などついて学ぶ。

怪しい者ではありません…コロナで自粛していたお巡りさんの「巡回連絡」、2年半ぶりに全面再開したら住民は警戒

 鹿児島県警はコロナ下で約2年半続けていた「巡回連絡」の自粛を解除している。緊急時の連絡先の把握や防犯指導のため、地域警察官が受け持ち区の家庭や事業所を訪問する取り組みだが、なじみが薄くなった県民から「何のための活動?」「なりすましでは」と拒まれることも少なくない。県警は「住民の意見を直接聞き、警察活動に反映させる貴重な場」と協力を求めている。

 「困りごとやお変わりはありませんか」。鹿児島市千日町の20代女性会社員は3月下旬、自宅に巡回連絡に来た警察官から、家族構成や職業、連絡先に変更がないかの確認や、近隣でわいせつ事案が増えているなど防犯指導を受けた。「8カ月前の前回は活動自体を知らず驚いたが、緊急時に役立てるためと聞き安心した。幼稚園児の娘もいるので防犯情報を教えてもらえてありがたい」と語る。

 県警地域課によると、巡回連絡は駐在所や交番に勤務する制服を着た警察官が担当。住民の要望を直接聞くほか、家族構成や連絡先を把握し、災害・事件事故時や独居高齢者と連絡が取れない際の迅速な救助や安否確認に役立てる狙いがある。対面方式が基本のため、コロナの感染リスクに考慮して2020年3月上旬から自粛。県のコロナ感染対策基準の緩和に伴い22年7月以降、各署管内の感染状況に応じて実施している。

 近年は共働き世帯やオートロックマンションが増え、訪問する曜日や時間帯を工夫しないと会えない場合も多い。交番勤務の男性警察官は「オートロックマンションはインターホンが1カ所にまとまっているので、住戸ごとに共同玄関まで戻らなければならない。不審に思われて通報されたこともある」と難しさを明かす。ある県警幹部は「業務の合間を縫って行う地道な活動だが、持ち場意識を持って治安情勢を把握するのは警察活動の基礎。住民と接する中でコミュニケーション能力も鍛えられる」と意義を強調する。

 活動の認知度を上げようと全国では動画配信する動きが広がっている。警視庁は4月、ユーチューブの公式チャンネルで巡回連絡の流れを紹介。警察官の体験談を交え、「本物の警察官か分からない時は署に確認の電話を」「忙しい時は断っても大丈夫。可能な時間に協力を」と呼びかける。

 鹿児島県警も広報紙などで情報発信中。警察官のなりすまし被害について、小能俊一地域課理事官は「巡回連絡で暗証番号を聞いたり、口座番号やキャッシュカードを預かったりすることは絶対にない。詐欺を疑って」と注意喚起している。
6月8日の紙面
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