「会派」って何だ? 地方議会にあったりなかったり…4月の統一地方選前にメリット・デメリットを探った 

2023年1月4日 19:30

 地方議会の中には、理念や政策を共にする議員グループ「会派」制を導入しているところがある。議員が協力し合うため政策実現の早道とも言えるが、集団の決定が優先され個人の意見が埋没しかねないという識者の指摘もある。4月に統一地方選が迫る中、鹿児島県内の会派事情を探った。

 南日本新聞の調べでは、県内では県議会のほか、43市町村の2割に当たる9市議会が会派を置く。会派内ではそれぞれ政策を立案したり、意見を集約して議会での代表質問に生かしたりしている。

 宮崎公立大学学長の有馬晋作氏(行政学)によると、会派には、政策実現に向けて協力して活動するため議員の公約を実現しやすくなるメリットがある。勉強会などを通じて議員の資質向上も期待できる。一方、会派内の拘束が強まると、個人の意見を表明しにくい面も出てくる。

 県議会は現在、自民、公明、共産の各党県議団と県民連合の計4会派。議会運営委員会で議事の取り扱いや会派間の意見調整をするほか、代表・一般質問の機会が会派の規模に応じて年単位で割り当てられる。1人月額30万円の政務活動費も会派に支給されている。会派で知事への要望活動をすることもある。

 全国市議会議長会によると、2021年12月末現在全815市のうち747市に会派がある。県内19市では鹿児島、鹿屋、伊佐など九つ。曽於は14年に初めて結成され、現在は6会派。出水は会派制を採るが、06年の合併以降結成はない。南さつまは昨年11月の改選前まであったが、現在はない。

 一方、県内の24町村議会はいずれも会派制を採用していない。県町村議会議長会の中村逸朗事務局長は「町村議員は政党公認が少なく、ほぼ無所属で出る。定数も少なく、会派の必要性を感じないからでは」とみる。

 有馬氏は「議員は会派の有無にかかわらず、実現したい政策分野への深い知識や実態を把握する調査能力が必要だ」と、会派に頼り切りにならない議員活動の重要性を指摘する。
【関連表】県内市議会の会派数が一目で分かる

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