駅伝の醍醐味凝縮 たすきつなぐ度に順位上げ…最終区「ブラボー」な逆転劇 鹿児島 3年ぶり入賞、7位【都道府県女子駅伝】 

2023年1月16日 12:01

第8中継所、鹿児島・橘(舞鶴中、右)が西田(エディオン)にたすきをつなぐ=京都市
 第41回全国都道府県対抗女子駅伝は15日、京都市のたけびしスタジアム京都発着の9区間42.195キロであり47チームが健脚を競った。鹿児島チームは2時間18分39秒で7位に入り、3年ぶりの入賞を果たした。最終9区で逆転した大阪が2時間15分48秒で、8年ぶり4度目の優勝を飾った。

■選手宣誓の言葉通り

 駅伝の醍醐味(だいごみ)を凝縮したようなレースだった。絶対的なエースがいなくても力を合わせて入賞をつかむ-。鹿児島チームはたすきをつなぐたびに順位を上げ、最終区で逆転し7位。選手、スタッフ一丸となって目標を達成した。

 最後の中継所、アンカー西田(エディオン)は、坂を上る中学生の橘(舞鶴中)に、何度も「のんちゃん」と叫ぶ。9位でたすきを手にすると一瞬笑顔を見せ、すぐ戦闘モードに。「みんなが順位を上げてくれたので必死だった」。猛然と駆け出しすぐに1人をかわして8位。中継所で約1分差だった愛知に残り1.5キロで追いつき、逆転した。

 たすきの重みが、アンカーに力を与えた。1区兼友(京セラ)は入賞圏内の8位と30秒差の18位。そこから神村勢の4選手が全国高校駅伝の経験を生かして順位を挽回。カーブの多い2区で、コース取りのうまさを披露した田島は「しっかりとイメージして走れた」と2人を抜いた。

 選手同士の絆はもちろん、家族の力も励みになった。6区で3人を抜いた西本(出水中央高)は、祖母からもらったお守りをゼッケンに縫い付け「背中を押してもらった」。尾上寿子監督(東谷山中教)は「スタッフを含めて穴のない布陣だった」と全員をたたえた。

 サッカーワールドカップ日本代表のように、選手らは持っている力を発揮。開会式で、西田主将が選手宣誓した言葉通り「ブラボー」なレース運びだった。

■中学生2人が躍動
 
 初出場の中学生2人が鹿児島チームの入賞に大きく貢献した。3区の瀬戸口(神村3年)は区間3位、8区の橘(舞鶴2年)は区間7位と好走。ともに「納得いくレースができた」と喜んだ。

 16位でたすきを受けた瀬戸口は3000メートル9分30秒台の実力を発揮。下り基調の3キロを県新記録となる9分28秒で駆け抜け、チームに勢いをもたらした。

 9位でたすきを受けた橘は「1秒でも早くアンカーの西田さんへ」と慌てず淡々と坂道を上った。8位との差を3秒差まで詰め、最終区の逆転入賞を演出した。

 瀬戸口は母親の麻美さんが、橘は父親の義昭さんが全国都道府県駅伝の選手だった。瀬戸口は「母から聞いていた舞台で走れて楽しかった。でも区間賞が取れなかったので、悔しさもある」とさらなる成長を誓った。
好走した3区・瀬戸口(左)と8区・橘=たけびしスタジアム京都

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