年360万円~27万円 「第2の報酬」批判ある政務活動費、鹿児島県と14市町の議会が導入 県議会はHPで使い道公開せず 

2023年3月31日 15:03

県議会事務局で閲覧できる政務活動費収支報告書などのファイル。ホームページでは公開していない=鹿児島県庁議会棟
 地方議員は報酬とは別に、政策調査研究などの費用として政務活動費(政活費)の支給を受けられる。鹿児島県内では、県議会のほか13市議会、1町議会が導入しているが、「第2の報酬」との批判を背景に見送るところもある。統一地方選を前に、県内の政活費事情を探った。

 政活費は自治体ごとに条例で交付額や交付方法、対象を定める。1人当たりの年額は県議会が360万円、鹿児島市議会が180万円と突出し、霧島、姶良両市議会の36万円、奄美市議会の27万円が続く。

 一定の基準はあるものの、何に使うかは議員や会派に委ねられているのが実情だ。ただ、地方自治法で収支報告が義務づけられており、12市議会がホームページ(HP)で領収書や収支報告書を公開している。残るいちき串木野市議会もHP公開に向け、近く協議を進める予定。一方、県議会はHP公開を求める陳情を連続15回継続審査とし、結論を出していない。

 交付については、姶良市議会以外は全て、定額をいったん受け取り、未消化分を返還する前払い方式を採用している。

 他に導入した議会と一線を画す姶良市議会が採るのは後払い方式だ。議員または会派代表が事前に年間計画を出し、使用後は実績報告書と領収書を議長に提出する。その上で、議長と議会事務局が認めなければ交付されない。使途の透明性を高める効果が期待されている。

 2021年度は2会派が印刷代やシンポジウム参加経費などを請求したが、会派別の執行率は52.6%、23.2%にとどまった。小山田邦弘議長は「自身が目指す政策の実現に向けて、計画的に政務活動を進めるようになる」と話す。

 一方、町村議会で導入するのは知名町のみ。議会事務局によると、02年度に導入し、記録が現存する06年度以降利用実績がない。理由には収支報告の負担が挙がるという。15年度からは町も予算化していない。

 また、南九州市議会は本年度、議員定数や報酬の改定と合わせて政活費導入を検討した。だが「報酬の中で活動はできる」「市民の理解が進んでいない」などの意見が出て、見送った。

 宮崎公立大学の有馬晋作学長(地方自治論)は「政務活動費は“第2の報酬”ではなく、本来は政策提言のための活動調査費。ホームページで領収書を全て公開するなどし、いつでもチェックされる緊張感を保つべきだ」と指摘した。
【関連表】鹿児島県議会と14市町議会の政務活動費の導入状況が一目で分かる

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