江戸時代の温暖化、古文書から高校生が解き明かした 155年分の記述をデータ処理「地道な作業が実った」 池田高が文化庁長官賞【かごしま総文】 

2023年7月31日 21:33

パネル発表に臨む池田高校科学思考班の生徒=30日、鹿児島市の鹿児島大学
 第47回全国高校総合文化祭(2023かごしま総文)は第3日の31日、計13部門で舞台や競技があり、自然科学部門の池田がポスター(パネル)発表の部で次点の文化庁長官賞に選ばれた。県勢は吟詠剣詩舞、吹奏楽などで熱演を披露。写真部門は撮影会で参加者同士の交流を深めた。第4日の8月1日は10部門がある。

◇審査員「丁寧な分析、プレゼンも他を圧倒」

 コツコツ重ねた努力が花開いた。全国高校総合文化祭、鹿児島市で開かれた自然科学部門の最終31日、池田の科学思考班が次点の文化庁長官賞に選ばれた。古文書から江戸時代の気象を解き明かす研究が評価され、3年の後堂莉乃さんと杉山夢子さん、2年の末満李紗さんの3人は「地道な作業が実った」と喜んだ。

 3人が調べたのは、大阪府池田市に残る「稲束家日記」。1758年から1912年にかけて天気について、ほぼ毎日書かれていることに着目。うち155年分の記述をデータ処理しグラフ化した結果、江戸時代の気温が右肩上がりで上昇していたことが分かった。

 班はポスター発表部門に出場し、45組で研究の独創性や表現力を競った。31日は鹿児島市の谷山サザンホールで表彰式があり、校名を呼ばれると、驚いた様子で壇上に上がった。「自信はあったけど、本番では不安だった」と後堂さん。杉山さんは「3年間の集大成だったので良かった」と喜んだ。2人は受験勉強のため引退するが、末満さんは「研究を引き継いで発展させたい」と意欲を見せた。

 審査した岡村典夫・全国高文連自然科学部事務局次長は「丁寧に調べて分析しており、プレゼンテーションでも他を圧倒していた」と称賛。学校初受賞に池田由實(
よしみ)校長は「古文書から気象を分析するという先輩たちの研究を引き継いで、大きな成果を上げてくれた」と語った。

 ◇主な部門別結果(31日・鹿児島県教育委員会)
=上位と鹿児島県分

 【自然科学】ポスター発表・文部科学大臣賞 都立科学技術(東京)▽文化庁長官賞 宇土(熊本)、池田▽奨励賞 錦江湾▽研究発表・最優秀賞 錦江湾(地学)▽同・奨励賞 錦江湾(生物、物理)、池田(地学)
〈関連〉自然科学部門で文化庁長官賞を受賞し、笑顔を見せる池田高校科学思考班の3人=鹿児島市の谷山サザンホール

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