稼げる漁業へ ICTで最適漁場を予測 海水温や塩分濃度の精度向上、アプリ開発も視野 鹿大・水技センターが共同研究 

2023年8月23日 8:27

会見する鹿児島大学水産学部の西隆一郎学部長(中央)ら=22日、鹿児島市の鹿児島大学下荒田キャンパス
 鹿児島大学水産学部、同大学院理工学研究科と鹿児島県水産技術開発センターは22日、鹿児島近海の漁場予測技術の開発に向けた共同研究を始めると発表した。情報通信技術(ICT)を活用した「スマート水産業」の取り組みで、漁業者が漁場を決める参考となる海水温や塩分濃度などの情報を集めて海況の予測精度を向上させる。効率的な操業を可能にして経営の安定を図る。

 海況調査は現在、同センターがしており、漁業者や県に計測機器を預けて集めた東シナ海のデータを基に7日先までの予測を公表している。しかし、予測と実測で水温差があるなど精度に難があった。

 共同研究では、測定を委託する漁業者を増やし水温と塩分を測る機器をこれまでの8個から25個、潮流データの記録機器を1個から5個にする。より多くの地点の情報を集めて鹿大とともに分析、予測する。精度が向上すれば漁業者が漁場を探す際の燃料費や時間を削減できる。鹿児島湾内の海況予測ツールも制作する。

 同センターが保有している漁獲データと鹿大が研究している人工知能(AI)を組み合わせ、ゴマサバとモジャコの漁場予測にも取り組み、海況と漁場の予測を一本化したアプリの開発に25年度までに着手する。

 同センターの外薗博人所長は「漁場が簡単に分かることで新規参入のハードルが下がり、漁業者減少の歯止めが期待できる」と話した。

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