娘3人の育児、乳がん転移…還暦は過ぎたけど「やっぱり先生になりたい」 60歳女性、教員免許取得へあと一歩 

2023年9月20日 20:31

運動会で児童と再会する郁智己さん=大和村の大和小学校
 鹿児島県奄美市名瀬のスクールソーシャルワーカー郁智己さん(60)が、還暦を過ぎて小学校の教壇に立つ夢を追いかけている。教員免許取得を目指し大学の通信教育を受け、今夏に教育実習を終えた。「子どもに寄り添い、励まし続けられる先生になりたい」と意気込む。

 同市名瀬出身。元々教員になるのが夢だった。大島高校卒業後、経済的な理由で島外の大学への進学を断念。保険会社の事務員として地元で働きながら、創価大の通信課程に通った。

 仕事や娘3人の子育て、水泳少年団での指導と多忙のため、大学4年まで進んだものの学籍を失効。40代後半には乳がんを患い、3年後には転移も見つかった。「学業のことは考えられなかった」

 病状は落ち着き、三女が高校生になり子育ても一段落。「生かされた命。教員を目指すなら最後のチャンス」と一念発起し、2021年に創価大教育学部の通信制に編入した。

 今年6月19日から4週間、大和村の大和小学校で教育実習をした。算数や道徳の授業を受け持ち、得意の水泳も指導。9月17日の運動会に招かれ、児童と再会した。「もう先生になったの」と尋ねられ、「まだ頑張ってるよ」と答えた。

 本年度の卒業に向け、教科試験やリポート提出に追われる。ただ年齢制限があり、免許を取っても採用試験は受けられない。そのため島内の小学校で期限付きの任用職員として働くのが目標だ。「諦めないことが夢や目標の達成につながると伝えたい」と話した。
【別カット】運動会で児童に囲まれる郁智己さん=大和村の大和小学校

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