体操の鹿児島躍進支えた鹿屋体大 関東勢と張り合う全国強豪校へ成長できた転機とは?【鹿児島国体】 

2023年9月24日 11:03

会心の演技を終え笑顔をみせる杉野正尭(左)ら体操成年男子鹿児島のメンバー=23日、鹿児島市の西原商会アリーナ
 23日あった鹿児島国体の体操競技団体総合で初優勝した鹿児島の成年男子と、6位の女子は、メンバーの多くが鹿屋市の鹿屋体育大生や卒業生だ。「日本一になる」という強い意志を胸に全国から集まった選手たちは、互いに高め合い国内トップクラスに成長。「地元」の大舞台で輝きを放った。

 鹿児島市の西原商会アリーナであった表彰式後、成年男子と女子の選手たちは仲良く記念撮影した。メンバー10人のうち4人が鹿屋体大体操競技部員で3人が卒業生。男子主将の金田希一選手(21)は「みんなで盛り上げ、教え合って練習している」と話す。

 1984年に創部。個人の種目別で全国優勝するような選手は輩出していた。だが、団体戦では全国の強豪校には及ばなかった。転機は2011年。前監督の村田憲亮さん(39)=現・徳洲会体操クラブヘッドコーチ=の就任だった。

 高校時代でトップクラスの成績を収めた選手たちは関東の強豪校に進む。村田さんは「磨けば光りそうな原石で、本土の一番南に来て強くなろうという意思がある子」に声をかけてきた。

 日々の練習は主体性を重視した。基本的な量と質を確保した上で、細かなメニューは選手に任せた。「指導者が100%ああしろ、こうしろと言っても本当の力は出てこない」

 成年女子に出場した碩山莉穂選手(23)=同大大学院=は4年前、成年男子の大黒柱・杉野正尭選手(24)の一言で競技に向き合う姿勢が変わった。「授業の合間にも練習に来れば?」。仲間と一緒に成長したいという思いが部員に広がっていった。

 今回は選手のサポートに回った同大2年の浜上みやび選手(20)は「男子の意識が高まり、女子も引っ張られている。来年の佐賀(国民スポーツ大会)は出場したい」と話す。

 村田さんは「自分がうまくなって終わりではなく、仲間に還元できる選手になってほしい」と伝え続けてきた。力を着実につけてきた体操競技部は、2020、21年の全日本学生選手権男子団体総合で準優勝を果たし、全国の強豪に割って入る存在となった。鹿屋で磨かれた原石は、パリ五輪や世界選手権での活躍を目指している。
鹿屋体大生と卒業生が活躍し優勝した成年男子の鹿児島チーム。前列左が元監督の村田憲亮さん=23日、鹿児島市の西原商会アリーナ
優勝と6位入賞を喜ぶ体操成年男子鹿児島と成年女子のメンバー=23日、鹿児島市の西原商会アリーナ

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