「本当は大人に変わってほしい…」 長渕剛さん、心の古里と自然塾への思い語る 

2023年9月24日 11:35

「地元の人と協力しながら自然塾の知名度を上げていきたい」と語る長渕剛さん=8月26日、霧島市の神造島(撮影・Hayato Ichihara)
 鹿児島市出身のシンガー・ソングライター長渕剛さんが8月下旬、霧島市で3泊4日のサマーキャンプ「自然塾」を開いた。全国から応募した小学生24人と無人島で魚釣りをしたり、天降川でカヤックをしたりと多彩な活動に取り組んだ。イベントの狙いと今後の展望を聞いた。

 -「自然塾」の狙いは。

 「空手の友だちが霧島市隼人にいる。年3、4回はここに来て、仲間と遊んだり、体を鍛えたりしている。上野原縄文の森周辺まで車を走らせて、鹿児島湾に沈む夕日を眺めながら弁当を食べて歌を作ることもある」

 「ここはすごい場所。温泉があちこちにあるし、緑の深さと空の青さ、夏の雲の豊かさはよそにはない。僕の幼児期の原風景に近い。今の子どもたちに味わわせたかった」

 -原風景とは。

 「4歳まで鹿児島市直木町で過ごした。まさに天国だった。山に田んぼ。モンシロチョウの群れを追いかけ、夕暮れには赤トンボとかけっこをした。家畜のいる家も多く、生き物の息遣いをあちこちで感じた。人間も温かかった」

 -参加者の様子は。

 「子どもが自主的に考えて動けるように意識したが、4日程度では変わらない。それよりも本当は、大人に対して変化を切望する」

 -どういう意味か。

 「おじいちゃんやお父さんから教わった川や海、山での遊びを、時代が変わったという理由で、子どもに教えなくなった。自然豊かな風土があるのに。海水浴をする人も減り、国分・隼人の街もどんどん変わっていく。これでいいのか。まずは、大人がこの海や山の中で楽しいことをやってほしい。それを見た子どもたちも付いてくるはずだ」

 -今後の展望は。

 「毎年恒例のイベントにしたい。日本人が元々持っていた心の持ち方や美意識を、自然と覚えていく場を目指す」

 「東日本大震災やコロナ禍を受けて、僕たちは命の貴さや人生の意味とは何かを考えるようになった。自然回帰が進み、農業などにいそしむ若者の姿もある。この流れと全国レベルでつながれたら、面白い」

 -隼人への思いは。

 「父と母が亡くなってから、たくさんの友だちや仲間がいる隼人周辺を実家のように思ってきた」

 「何より人柄がいい。温泉には地域の年配者から若い人まで集まり、昔ながらの裸の付き合いがある。幼少期の周りにあった人間同士のつながりと全く同じものがある。ここは本拠地で、心の古里。隼人にもっと恩返しをしたい」

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