「見えない」馬毛島基地整備 不安だらけだが…地元議会は“傍観者”? 情報収集は市頼み、防衛省は無回答 西之表 

2023年9月27日 7:33

自衛隊基地整備が進む西之表市馬毛島=26日午前
 鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備を巡り、同市議会が「傍観者」の立場になりつつある。情報収集が市頼みで詳細さに欠け、主体的な対応を打ち出せないためだ。26日の馬毛島対策特別委員会で市側に情報共有の在り方に疑問を投げかけたものの、防衛省による制約を突きつけられ、改善の糸口は見いだせなかった。

 特別委に出席した八板俊輔市長は、基地整備に関する情報が不十分との指摘に「市はできるだけ提供したい。防衛省に議会への説明も求めている」と答弁。一方で「防衛省は事務レベルの協議内容は公表しないスタンスだ」とも述べた。

 特別委では基地賛成、反対両派の考え方の違いが浮き彫りになっている。反対派は一貫して防衛省による直接説明を要求。賛成派は市の情報開示姿勢を疑問視し「給水やごみ、し尿処理など、市が現状で対応できる基礎データを示してほしい」「基地工事の影響に市がどう対応しているか見えない」と指摘する。

 ただ、賛成派からも防衛省への不信の声は漏れる。今年1月に基地本体工事が始まって以降、事業主体の防衛省の本省幹部が表舞台に出てきたのは、八板市長も交えて5月に開いた市との協議だけ。終了後、同省参事官は市議会への説明を「正式に文書が届いたら検討したい」と報道陣に答えたが、特別委が要望書を提出して3カ月以上たった現在も回答がないからだ。

 議会軽視と受け取られかねない同省の対応に、杉為昭委員長も「そろそろ回答を求めなければ」と気を引き締める。

 市議会と同省の直接的なやり取りは、馬毛島に計3000室超の仮設宿舎を設置する考えを示した2月が最後だ。種子島から約10キロの海を隔てて進む工事は「見えない」ことによって、地元の不安を助長させている面がある。

 7年前、当時の特別委が所管事務調査で同省を訪れ、担当者と意見交換したこともあった。川村孝則議長は「個人的な意見として、今後はそういった形を考えていいと思っている」と話した。
西之表市議会馬毛島対策特別委員会で説明する八板俊輔市長(右端)=26日、同市役所

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