いじめなど社会問題考察 メディア報道の違い比較

鹿児島市で2月17日にあった鹿児島県NIE(エヌアイイー)推進協議会(会長・鷲東重明松陽高校長)の2006年度実践報告会。県内の実践校13校のうち11校が、授業や学級活動などで新聞記事を活用したさまざまな取り組みを発表した。特徴ある実践や新規校の報告を中心に、活動例を紹介する。

読解力や語る力に成果

多彩な活動が報告された2006年度鹿児島県NIE実践報告会=2月17日、鹿児島市

多彩な活動が報告された2006年度鹿児島県NIE実践報告会=2月17日、鹿児島市

本年度の実践校は大隅北小、佐志小、加世田中、鹿児島女子高、鹿児島商業高、有明高(以上新規)、名山小、自主研究グループ光輝・田中小、郡山中、小瀬田中、松陽高、国分高、鹿児島情報高(以上継続)の13校。報告会には新規5校、継続6校が参加した。

記事の授業活用

教科としての取り組みでは、ほとんどの実践校が国語と社会でNIE活動を取り入れていた。中でも特徴的だったのは、昨年秋以降に大きな社会問題となっている「いじめ」を考える授業に、新聞を活用した学校が複数あった点だ。

自主研究グループ光輝・田中小は、4年生を対象に3時間かけて展開。1時間目は、いじめを原因に自殺した中学生の遺書や子どもを亡くした母親の講演内容が掲載された記事を提示した。2時間目には、新聞に掲載された主な相談機関を紹介した。まとめとして3時間目に、自分たちの言葉遣いについて話し合わせ、日ごろ何げなく発する言葉が相手を傷つけることもあると気付かせた。

郡山中は道徳や学活の時間に、いじめについての特集記事やコラムなどを補助資料として活用したと報告。鹿児島商業高からは国語の時間に、「生き抜く」ことの大切さや事件後の学校・教育委員会の対応への違和感などが記された記事を生徒に読ませ、意見を書かせた実践例が披露された。

情報判断力養う

有明高の古澤庸教諭は、メディアリテラシー(情報を読み解く力)の授業を報告した。秋田県の男児不審死事件を取り上げ、(1)新聞とテレビ(2)新聞2社の記事(3)テレビ2局の番組―で比較するというもの。

(1)の手順では、生徒を新聞班とテレビ班に分け、同じ時間でどちらが事件に関する情報をより正確に把握できるかを競わせた。その結果、新聞班の方が人名や事件のあった日時など、より確かなメモを取れたという。(2)と(3)では、同じメディアであっても、事件のどの点に視点を置くかによって読み手・視聴者に与える印象や報道の仕方が変わってくることを考えさせた。

まとめとして「一つの物事をどうとらえるかは人によって異なり、それに関する情報も伝える側の意図や方法で違ってくる」と説明した。

「生徒は、テレビに比べて新聞は遡行(そこう)性があることなどに気づいたようだ。反応も予想以上によかった」と古澤教諭は話す。

活動前のアンケートでは、情報源をテレビに頼っていると答えた生徒が多かったが、この授業を含む一連の活動を終えた後では「マスコミに対する意識が変わった」(84%)「新聞のイメージが変わった(良くなった)」(88%)との結果が出たという。

このほか、一分間スピーチや新聞閲覧コーナーの設置などが多くの学校から報告され、中には学級通信や保健便りに新聞記事を盛り込んだというユニークな取り組みもあった。成果として、各校とも新聞に親しむことで社会に関心を持つようになったり、読解力や語彙(ごい)力、意見を発表する力がついたことなどを挙げた。

一方、「担当教科外や学校全体での活動をどう実現していくか」などの課題も示されたほか、新聞提供の充実や代金助成を望む声もあった。