国際的な学力調査で子どもたちの資料や文章を論理的に読み解く力の低下が指摘され、国語力に関心が高まっている。文部科学省は新しい学習指導要領案で、課題を解決するための思考力や判断力、表現力を育成する言語活動の充実を盛り込んだ。新聞を教育に活用する「NIE(エヌアイイー)」活動でも、国語力向上への研究が進む。16日に鹿児島市であった鹿児島県NIE推進協議会の2007年度実践報告会から、小中の特徴的な取り組みを紹介する。

要約、音読で言葉増加(薩摩川内・永利小)

12実践校が発表した報告会

鹿児島県内の12実践校が発表した報告会=南日本新聞会館

<薩摩川内市立永利小の米満康弘教諭は「文章や図表、写真など多様なテキストが集約された新聞記事の活用は、国語力向上に有用」と指摘する。担任する5年生のクラスでは昨年4月から、児童が朝の会で新聞記事を紹介し感想を発表している。 記事は、友達に分かるように意識しながら120字以内にまとめ、書き終わったら読んで確認する-など要約の方法を指導。当初は記事を丸写しする子供もいたが、難しい言葉を辞典で調べることに慣れてくると、字数内に収められるようになってきたという。 3学期からは新たに記事音読を始めた。環境などジャンルを指定してNIE係の児童に選んでもらった記事を、難しい言葉の読みや意味を調べてメモしたり、感想を書き込めるように周囲に空白を設けた「音読スクラップ」として配布している。 米満教諭は「新聞記事は子どもたちにとって、身近で興味深い話題が多く、教科書では出合えない単語にも触れることができる言葉の宝庫」と期待する。

情報の意図読み解く(薩摩川内・海陽中)

海陽中3年生が童話を基に再編集した記事

海陽中3年生が童話を基に再編集した記事。「意図」を伝えようと、生徒たちはさまざまな工夫をした

同市立海陽中の伊藤彰郎教諭は、3年生を対象にメディア・リテラシー(情報を読み解く力)の育成を目指した国語の授業を報告した。教科書の「メディア社会を考える」という単元で、情報の受け手、送り手それぞれを経験させ、情報に含まれる「意図」を体感させた9時間の試みだ。

単元前半で、全国紙の編集方針を紹介した記事や同じ出来事を扱った各紙の社説を読み比べることで、送られる情報には「意図」があることに気づかせた。また、英会話学校破たんを伝える記事の構成を分析。破たんの事実だけでなく、講師の苦しい生活を紹介した「物語」の部分が添えられていることで、出来事の重みや意味が分かりやすくなっていると理解させた。

その後、グループに分かれて送り手側を体験させた。「シンデレラ」などなじみ深い童話を題材に、伝えたい「意図」をグループごとに決め、「物語」部分を自由に設定して新聞記事の形に再編集させた。

「マッチ売りの少女」を題材に選んだグループは、少女が美しい絵画を焼いてしまうという「物語」を設定、美しさへのねたみがあったとする「意図」を伝えるため、文章や構成を練り上げた。

授業を終え、生徒からは「ニュースが、どんな意図で構成されているのか考えるようになった」「メディアが情報を編集する意味や具体的な方法について理解できた」などの意見が出されたという。

伊藤教諭は「情報を操作するというメディアへの警戒心を持つだけでは力にならない。作り手の意図を客観的にとらえ、意図を自分で主観的に評価して情報を受け止めることが大事」と話した。

日本新聞教育文化財団は07年度実践校に全国513校を指定。鹿児島県内は、永利小、日置小、大隅北小、佐志小、東桜島中、協和中、海陽中、小瀬田中、面縄中、鹿児島商業高、国分高、加治木工業高、有明高の13校。