鹿児島市の武岡中学校で7月10日、1年生96人に「新聞記者って何?」をテーマに話をしました。同中では毎年、小学生から中学生になった子どもたちに社会への意識を高めてもらおうと「社会人に学ぶ会」を催しており、今回2012は読者センターに声がかかりました。
5、6時限目を使って体育館に集まった中学生たちに、将来なりたい職業があるか尋ねると、3分の1くらいが「はい!」と手を挙げました。すごい。私が中1のころはまだ全くそんな意識はありませんでした。挙手した1人の男子生徒は「料理人になりたい」と教えてくれました。もっとほかの生徒たちにもそれぞれの将来の夢をきけばよかったのですが、今回のテーマに入ってしまいました。
「新聞記者って何だと思う」と尋ねると、「新聞に書く人!」と1人の男子から回答。確かに。「伝える人だと思う」と話しました。では何を伝えるのか。ニュース。世の中の出来事。でも、他人に伝えるというのは難しいです。基本的には、いつ(when)、どこで(where)、だれが(who)、何を(what)、なぜ(why)、という5つのWと、どのように(how)という1つのH、5W1Hを念頭に取材し、記事にします。
その際にも、伝えるテーマは何か、最初に見出しを考えることが大切で、それは皆さんの作文にも通じます。
何をどのように書くか、伝えるかということは記者のスタンスが問われます。例えば会合の取材。当日の南日本新聞から例示を試みました。ちょっと難しい話題でしが、南シナ海の領有権問題が大きなテーマだった東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議を報じる新聞各紙の記事。
共同通信社の記事を掲載した南日本新聞では、南シナ海に監視態勢を敷くという「行動規範」の骨格を承認したと報じられました。一方、毎日新聞は「行動規範がまとまらなかった」ということを強調した形となりました。朝日新聞、読売新聞は「行動規範」策定に向け中国と協議へという前向きなとらえ方をしていました。
同じ会議を取材しても、記者のスタンスや書き方、さらに紙面したときの見出しのとり方などで読者には違った印象を与えることを紹介しました。